再会

この約2週間は非常に濃密な日々を過ごすことができました。
個人的なことですが、エネルギッシュな20代に苦楽を共にした友人と16年ぶりに再会を果たせました。
真冬で雪の降り積もる氷点下の朝、「もう会えることはないんだな」という言葉をニューヨークのバッファローで交わしてからというもの、ながらく自分のことで精一杯でしたが、シガーの煙を眺めながら回想するたびに侘しさも感じたりすることはしばしばありました。

そのような数多くの友人達がそれぞれの地元各国に散らばっていて、会いたいと思っても簡単には会えない状況です。共に笑い合い抱き合うこともあれば、常に消耗した身体で対立しながらも問題解決のために夜中まで話し合ったり、泣いて喜ぶことも。若さゆえの激しさがかけがえのない関係を作り上げたのでしょう。

今ではFBやスカイプなどあり簡易的に連絡は取れますが、時間の共有については『共に過ごす』ことに勝るものはありません。
自分から会いに向かえばいいのですが、現状では思い通りにはできません。それこそ世界一周の旅となってしまい費用を捻出できませんし、お互いの事情もありますのでなおさら切なさを感じずにはいられません。

さて、スイス人である彼の初日本観光が決まってからというもの、心は常にこの2週間に向いており、心は常にざわついた状態でした。もう会えないと思っていながら時々思いを馳せていたのでその嬉しさは言葉に表すことが全くできません。
到着前日は眠れないことは必至だったので眠剤のお世話になり、当日はワクワクしながら迎えに上がりました。
自分の場合、言葉の通じにくい旅行先で最初に面倒に感じることは空港からの移動ですし、友人の迎えがあるととても安心感を持ちますので、そのようにするためにも。

その日は時間も限られていたので、共に葉巻を楽しむ時間を持つことは出来ませんでした。その翌日からは九州地方に向かい関西地方や甲信越と巡っていたのでずっと会っているわけにはいかなかったものの、機会があるたびに連絡を取り合うなかでは彼の目を通して私自身も旅行を愉しんでいるかのような気持ちにさせてくれました。撮った写真やご当地名物についてなど話しているとなおさらです(笑)
彼はお相手との婚前旅行なので、適度に遠慮しつつも私は私で協力できることを探しながらでしたが。。。

東京に戻ってきてからは自宅で朝からリラックスを。
スイスは海がないので海水浴に行きたいと言っていたことを思い出し、湘南あたりまで行くことを考えていましたが、念のために希望を聞くと、どこにもいかず一緒に話し明かしたいと言ってくれるではありませんか。
友人のお相手とは空港でお会いしたのが初めてでしたが快く賛成していただけたので、そのようにさせて頂きました。
都内に住む共通の友人も仕事の都合をつけて駆けつけてくれたので、軽い昼食をとったり、午後はコーヒーやスウィーツを楽しみ、夕方からは屋外で近所の子供達と娘が遊ぶ姿を眺めながら各種地ビールで夕涼みを。何気に普通のサッポロを気に入っていました(笑)。
ご近所の方々も井戸端会議のように集まっていただけ、予想以上におしゃべりが盛り上がったのでした。
ツーリストとしての観光ではなく溶け込んだ経験を望んでいたようなので、彼からはこれ以上ない喜びを聞くこともできました。

せっかくなので共通の友人も宿泊することに。夜はゆっくりシガーを愉しもうと考えていたのですが、叶いませんでした。全員がシガー・スモーカーであれば問題はないのですが、そうではないため、結局は見送ることとなりましたが、友人もこれに賛成でした。

帰国後の「無事に帰り着いた」という電話では話しきれなかったことを話していたり、またいつかの再会を願って今回のシガーをその時まで取っておこうと、電話ごしでですが誓い合いました。。また会えることを願いつつ。

キューバにも行きたいですが、スイスのダヴィドフやジェラールにも行ってみたいものです。
スイス関係で困ったことがあれば手助けするよと言ってくれたことも心強いものですがそのような必要が起こらないことを祈るほかありません(笑)。

スイスからお土産に持ってきてくれた牛の首につける鈴、カウベルの音を聞きながら、ロメオのショート・チャーチルに火を。
特に理由はありませんでしたが、彼のお相手があまりにもエレガントで素敵な方だったので。良い香りを味わいたかったのかもしれません。春先に比べると少しウッディでしたが、それでも十分です。
友人との再会も素晴らしいものでしたが、お相手が素敵だと分かったことも幸せなことでした。陰ながら2人の結びつきが強まることを願い、できることは協力したいと心から思います。

2016-07-21 05.22.00
カウベル。牛の首に付けるチョーカーみたいなものでしょうか(笑)。スイスの空気、牛の鳴き声や牧草地の香り等を思わせる”カラン〜カラ〜ン”といった音色です。お土産用のカウベルですが。

風鈴の音を耳にすると、涼しげな、夏の夜の空気感や肌を刺す太陽の光、蝉の声などを思い出しますが、カウベルの音も同じように牛の声や空の色、牧草地の木陰や動物の香りを思い起こさせます。とは言ってもスイスを訪れたことがありませんので、思い出すそれは北海道のものですが(笑)。

空港から送り出した翌日、無事に責任を果たせた気がして一息ついていると、珍しいことに家族がお土産と共に帰宅しました。

「チェ・ゲバラの遥かな旅」という表題で、書店の目に付く場所に平積みされていたので気がついたそうです。普段は書店でチェの本を見かけることはないし、最近、私の「髪の長さと巻き具合がチェに似てきているのを思い出して」とのことでした。夏のキャンペーンで表紙は今だけのイラストとのこと。
1刷は2004年で今年で13刷なのでお読みになられている方は多いと思いますが、私は初めてです。

2016-07-23 02.20.43
イラストはゆる〜いチェです(笑)。

あまりチェ・ゲバラのことは詳しくありませんので、いい機会だと思い読み始めました。私ももう直ぐチェの没年齢と同じになります。数十日の差がありますが、ちょうど私の生まれる10年前にボリビアでこの世を最後にしています。
比較の対象にはなりませんが、自分のしてきたことを考えるとチェがどれほどの人物だったのか、畏怖を感じずには居られません。

まだ序盤しか読んでいませんが、側からチェの成長と活動を見ているような文章で読みやすく面白いです。
その序章ではチェの遺体をキューバでフィデルが迎えた時のことに触れており、その時の言葉が紹介されていました。

71歳のフィデルは、30年振りに再会した無言の盟友に、こう言った。
「私たちは、チェと、その同志たちに別れを告げに来たのではなく、
出迎えのために来たのです〜」

P.14より

つい前日まで、再会を噛み締めていた私には込み上げるものが。

彼らのように壮大なものではありませんが、再会ということの意義を考えさせられました。

表紙のチェがゆる〜い感じだったこともあり、軽い気持ちで「チェにもシガーを」と思い、大きさを考えてセクレトスを選んだだけでしたが、意外にもセクレトス(秘密)な思い出が出来上がりました。

コイーバ_セクレトス

 

 

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