グレーマーケット

日本国内での購入
葉巻・シガーの購入にあたっては様々な入手経路または方法がある。
もっとも確実で簡単な方法は街のタバコ店での購入だと言えるが、店舗の広さやヒュミドールの大きさの関係からブランド/ヴィトラが限られる場合もあるし、近所にプレミアム・シガーを置いているタバコ店がない場合もある。
その次の手段としては国内通販が挙げられるだろう。年齢認証などのために免許証などの画像をメールで送り登録するという手間が必要になるが、最初だけでそれ以降は煩わしさもなく便利に利用できる。
送料はどうしても掛かってしまうが、自動車で30分程掛けて買いに行ったと思えばガソリン代程度なので大したことも無いだろう。
だが、これもブランド/ヴィトラに限りがあるので、欲しいものが欲しい時に手に入るとは限らない。

一番のメリットは余程のことでない限り製品の素性を心配しなくても良いことだろう。

海外ウェブサイトでの購入
ここで海外通販という手段が視野に入ってくる。
サイトによっては日本語も可能な所もあるようなので言葉の心配がある場合は日本語に対応しているショップのウェブサイトを探すと安心感もあるのではないだろうか。
なお意思疎通のための言葉の問題については個々の事情によるのでここでは省かせていただきたい。
海外通販についてはよく話題に上がることなのでご存知の方々も多いと思うものの、これから開拓して行きたい方々もいらっしゃることだと思ったので少し書こうと思った次第である。
(長く海外から購入されていらっしゃる方にとって新しいことは書いていないので、内容にお気付きの点があればご連絡いただけると幸いです)
海外のショップからどのようにして購入するのかといった方法についての事柄は多くの場所で読むことが多いと思うので省略し、ここに書かれたことが目的に応じた販売サイトを見つけるヒントとなれば幸いだ。

楽しみのための嗜好品を購入するわけなので、買い物も楽しく且つ気持ち良く終える事が出来なければ本末転倒ではなかろうか。

大まかな流れはハバノスの商品は各地に存在するディストリビューターに届けられ、そこからフランチャイズの”La Casa Del Habano”やフランチャイズではない”Habanos Specialists”の看板を掲げた各店舗に卸されると考えて良いだろう。そのようなショップのウェブサイトでは場合によってこのようなバナーが貼られていることがあるしそうでない場合もある。

 

 

ここで、ひとまず海外通販という手段におけるメリットとデメリットを整理したい。

●メリット
・購入出来るブランドおよびヴィトラの選択肢が増える
・送料と諸税を勘案しても比較的安価にて購入できる場合が多い
・”Edicion Regionales”など限定品や記念ヒュミドールを始めとするコレクター商品購入のチャンスが増える
・割高(時として国内価格の2倍・3倍やそれ以上のことも)ではあるがエイジドと呼ばれる熟成された物やヴィンテージの入手が可能なこともある

●デメリット
・言葉の壁
・各サイトの使い勝手を理解するまでの煩わしさ
・クレジットカード利用を発端とした情報漏洩のリスク
・シガーのコンディション、また輸送中に起こり得る様々な事柄、リスク
・返品・返金のための手続き、またこれらに係る諸費用、時間的、金銭的、労力的な損失
・フェイク(カウンターフェイト・偽物)との遭遇

思いつくだけを挙げると上記の通りとなる。海外通販に踏み切るか否かの検討材料となるだろうか。もっとも避けたいことは「フェイク」だろう。
デメリットを承知の上でメリットを求めるのであれば楽しみは広がるはずだ。
海外通販、個人輸入と言っても欲しい品目と数量を選んでカートに入れてチェックアウトしクレジットカードで支払いを済ませるだけなので、どのショップで購入するかのアタリをつければあとは注文して届くのを待つばかりである。。荷物は税付で配達されるので、その時に郵便局の方に渡すだけである。
面倒に巻き込まれないためにもこれから買い物をしようとしているショップが信頼のできるショップなのかどうかをできる限り事前調査しておくと良い。
共通の趣味を持つ友人を持っている場合、情報交換は非常に有効である。
ただ、ショップの情報にあたってみてもその情報元が正しいのか否かの判断も難しい場合もあるので、最終的には自分自身での判断と経験による部分が大きい。せめて次の事柄だけでも目を通す必要がある。

・住所や電話・メールなどの連絡先の確認(発送元なども)
・FAQをよく読む
・送料や配送方法の確認と返品や返金について
・価格の確認、考証
・一般的な信頼度

最低でもこれらを確認して、まだ不明点があるようならメールで質問すると良い。良心的なショップであればすぐに返事を返してくれるし疑問点も解消してくれる。裏を返すと、なかなか返信のない場合や返信内容が質問に合ってないような場合は近寄らないほうが無難かもしれない。オンライン上では販売サイトが乱立しているので正規店以外のサイトをよく目にすることとなる。スムーズな手続きと確実さのためにもここは時間を十分掛ける価値はある。

正規品?フェイク?
さて、何度か海外通販を経験するとボックスに貼られているワランティ・シールに違和感を覚えることがあるかもしれない。
ショップによってはこのワランティ・シールのバーコード部分を切り取っているからだ。
(ワランティ・シールが切られ開封されているのはショップでの中身チェックのためであり、ショップによっては未開封を希望することもできる)
ハバノスがフェイク対策のためにバーコードを取り付け、その番号を肉眼では読み取りにくい程に小さな文字のマイクロ・プリントでワランティ・シールに刷り込んでいるのだが、一部の販売サイトではそのバーコードを切り落とし、マイクロ・プリント部を削っているのである。混乱の原因ではあるが、だからと言ってこのような状態=フェイクとは言い切れない。
(消費者はこのバーコードを用いて製品の照合が可能であり、同時にハバノスではこのバーコードでどのディストリビューターを経由している製品なのかをトラッキングすることができる内部資料ともなるらしい)

 

—※ここに掲載するための一例としてシリアルナンバー/バーコードとマイクロプリントの写真を撮ったものの、内部資料となり得ることを考えると万が一にも迷惑が掛かることがあってはいけないので掲載は控えた。ここでは切り取られたバーコード部と削られたマイクロプリント部のみ掲載している。マイクロプリントの場所はここだけではなく、数字を分割して記載されている場所など複数箇所にわたる。なかにはバーコード部は切り取られているもののマイクロプリント部が削り忘れというパターンもあった。—

グレーマーケット
上述したようにハバノスはディストリビューターへ、そしてディストリビューターからサブディストリビューターへと製品が流通するのだが、流通させる際に地域ごとの流通量/販売量を調整している。またディストリビューター/正規店は定められた地域以外に流通させることを制限されているという。ただ必ずしもそうとは限らないように見えることもあるので(過去には口止めされたこともある)、どこまでが言われている通りなのかはわからない。

ディストリビューター/サブディストリビューターにとってはより多く仕入れることで経費を抑えることが出来るものの、捌ききれない在庫を抱えるより捌けた方が良いこと、一部のショップにとっては仕入先を確保できるという関係が成立しWin-Winの状態となっていることが推測できる。
そして並行輸入業者もそういったショップの仕入先の1つであり、フェイク業者のターゲットともなっている。このようなやり取りを経た製品を扱うショップやその製品などがいわゆる葉巻・シガーの「グレーマーケット」である。
注意が必要なことはグレーマーケットは品質管理など気にしないことはもちろんの事で中身の詰め替えなども横行している。注意と言っても一般消費者としてはほとんど運任せに近いので覚悟といったところか。ボックスを開け、ラッパーの色が揃っていなければ不安が高まる。
グレーマーケットではこの製品を巡る関係を保持し供給元を保護するためにバーコードの切り取りやマイクロプリント部の削り落としが行われていると聞いている。

どちらも正規品を扱っている場合があるので、そう言った場合はフェイクとは言えないのだが意図的にフェイクが混ぜられることも事例として聞く事もないわけではない。また箱、リングなどは本物を流用することで見た目では解らない場合もある。そういった場合は仮にバーコードでチェックを行っても無意味な結果しか残らないので様式、香り、味わいから判断するしか術がない。

ハバノス S.A. にとってグレーマーケットは好ましいものではなく、2010年にシリアルナンバーのバーコードを導入した理由にグレーマーケットの撲滅がある。ただ現況から判断すると必ずしも期待通りには進んでいないように見える。

このような事情が背景にあるので、バーコードが剥がされていたりマイクロプリントが削られているからといってフェイクだとは言えないのだが、フェイク屋はこう言った事情も織り込んでバーコードを剥がしたフェイクをこしらえていることも事実だという。確かにその方がよりリアルを感じるしフェイクらしくない気もする。

グレーマーケットは一般によく知られているものであり、これまで何度か販売サイトへバーコードが切り取られている理由を直接尋ねたこともあるが「指定地域外への販売になるため供給者を保護する目的で切り取っている」ということと「指定地域内での販売・配送については切り取らずに残すことは可能」という返事が返ってくる。

私はグレーマーケットの価格には魅了されるものの、このように手を加えられていることはあまり好みではない。したがってエイジング目的やコレクションのために購入する場合は”La Casa Del Habano”などにて購入している。常喫としてリーズナブルな価格を求める場合は、いわゆるグレーマーケットを通じて購入している。価格の理由を知った上で購入品目と購入先を決めれば良いのではなかろうか。

購入サイトを決めるときの判断材料に挙げた「価格」であるが、グレーマーケットは往々にして若干お買い得に設定されている。日本と異なり、その国の税制の理由や、為替が関わるので”La Casa Del Habano”でも場所ごとによって差異があり最初は分かりにくい。がいろいろなショップで物色しているとだいたいこのぐらいが適正価格なのかなと思えるおおよそのラインが見えてくる。La Casa Del Habanoでの価格帯、グレーマーケットでの価格帯という具合にである。
そしてあるところでは格安に設定していたり、ディスコン(Discontinued・廃盤)銘柄がいつまでも格安にて販売されていたりすることに気がつくこともある。またあるところでは安価に設定されている上に送料無料となる発注金額の下限がないといったところも。。

葉巻・シガーに限らず何ごとにおいても理由があっての価格なので格安にて販売されているということはそれなりの理由がある。この場合は「フェイク」を疑う方が無難だと考えている。
大切な資金と時間は無駄にできない。大金をはたいたうえに手元へ届いたものは二束三文だなんていうことは想像もしたくはないものだ。

手元に届いた製品がフェイクかそうでないかについては心配になることがある。ゆえに判断するためのポイントもおいおい書いてゆきたい。

歴史のある店舗、受賞歴のある店舗や日本国内で販売されているハバノス製品についてはそこまで心配は感じないが、そうでない場合は同じ感覚で、アマゾンで買い物するような感覚では葉巻・シガーの海外通販をしてはいけないように感じる。よってその下調べが重要となるが、その過程も楽しみの1つではないだろうか。
(本来、相手を疑って掛かることは性に合わないが)先方の気分を害さず聞きたいことを聞き出せるような質問を考えることも楽しいし届いた返事を吟味してみることも推理のようで楽しい。その上で返事がなければ、「それが返事だ」と考えるようにしている。

また、そのような「やりとり」という交流も楽しいものであると同時に信頼関係を気づくことができると、さらに楽しい。

もし、金銭的な制限がない環境で好きなだけ購入できるのであれば、フェイクも楽しんでみたいところだ。
だが、そのような行為はフェイク品の増加を助長させることに繋がり、また自身の良心を咎めてしまうので敢えて自ら近寄ることは今後もしないだろう。基準となる価格の把握、販売サイトの下調べ、販売者との密なコミュニケーションによってフェイクを遠ざけることができるのではないだろうか。

諸々のことを勘案すれば、日本国内で販売されているものを購入することで間違いは抑えられることに変わりはない。時間、労力、精神的疲弊を考えると妥当な価格とも考えられる。

自分に適した販売サイトが決まると、長い付き合いになることだろう。そして新鮮味を求めて新たなサイトを探すこととなる。これも楽しみの1つである。

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